【ブルーアーカイブ】青(島)マナだと思ってたのに触ってみたら黒(沼)マナだった件

これはどんな文章?

ブルーアーカイブ
インターネット上でオタク間では多分かなり人気の方のコンテンツで、知り合いでもカジュアルに遊んでいる人は多く見受けられていた。

僕は今までずっと不思議だった。
インターネット上で受動的に目(または耳)に入ってくる同ゲームに関する情報は、登場キャラクターの容姿に関連するものが大半を占めている。
にも関わらず、直接知り合いに話を聞くとどんな人に話を聞いても必ず「シナリオが良い」「音楽が良い」などの反応を示していたからだ。
まぁ積極的に情報を集めている訳ではないのだから、突き抜けたミームなどが外に出てきやすいのは当然なのだが、見た目のインパクトが先行している節はどうしても感じられていた。

12月の頭に購入したドラゴンクエストモンスターズ3を一足飛びにクリアしてしまい対戦環境に片足を浸けてみた辺りで一旦おおよそ満足した。
そのため、1月末の風来のシレン6発売まで少しコンテンツ消化に余裕が出来ていた。
そこでコトの真相を確かめるべく同ゲームを端末にインストールした。
面白ければそれで良いし、口に合わなければ去れば良い。

透き通った世界観の綺麗な学園で新しい出会いにときめき、青春の1ページを補完する……。
そんな体験が待っているのだという予想と期待に胸を膨らませる。
口に合わなければ……とは言ったものの、元々僕はその手の方向性の作品は好みの方だ。

タイトル画面を見る。
美麗で、静かな、少し寂しい、空の青。

澄んだ青は心を落ち着かせてくれる。

僕は元々、青も好きだ。
ヨースターの人気(だと思われるネットで聞いたことのある)コンテンツは他にも幾らかある。
これに手を出すことに決めたのは青が好きだったからというのも関係はしている。

ブルーアーカイブ

2023年12月23日。
タイトルコールと共に僕はキヴォトスの"先生"となったのだ。

今、正月を跨ぎ、先生になってからおおよそ10日ほどが経過した。
ゲームへのモチベーションがシナリオを体験する事だったため、お布施を兼ねて少額の課金を行い足早に第一部最終章の最後まで駆け抜けた。
かなり上手く立ち回って効率的にゲームを進行した自覚はあるが、完全お布施無しであれば同程度の進行度を得る為にはもう少し長い期間が必要だろう。
また、一日に20〜40話ペースという社会人としては割と尋常じゃないスピードでテキストを読み進めていた。
これもちょっと真似のしづらい要素かもしれない。
よって、普通の範疇で遊ぶとこんなハイスピードでクリアする事は叶わないであろう事を注意書きとして記しておく。

これは完走した感想とか、その類の文章である。


補足1:残っているVol.4-2とVol.5についてはお正月の期間中に読み終えようと思っている。
補足2:解放可能なグループストーリーや過去のイベントストーリーは全部読んだ。
補足3:全部読んだ。

■そこは底なしの……

結論から言って、ブルーアーカイブのシナリオはかなり良質である。
しっかりとした土台の上に世界が形作られ、その上で生徒(キャラクター)達が生きている。
先生(主人公)や各生徒にはそれぞれの根幹に大事にしたいもの、言わば生きるための方針が確実に存在している。
それらの価値観がぶつかり合う事で事件が起き、それを解決に導くために先生のみならず多くの者たちが奔走する。

このゲームはお気に入りの生徒とキャッキャウフフするだけのゲームではない。
いやまぁキャラクターコンテンツでもあるから、勿論そういう側面もサイドシナリオとして多数存在している。
それも大きな魅力の1つであり、かけがえのないものだ。
ただし、実際に触ってみるとそれだけのゲームではなかったのだ。

学園×青春×物語RPG
日常で奇跡を見つけるRPG

これはブルーアーカイブのキャッチコピー(ゲームジャンル)だ。
何も間違っていない。
間違ってはいないが。
それでは少し足りないのだ。

もしかしたらこの文章はいわゆる営業妨害的なものとなってしまうかもしれない。
「ピエロは実は頭が良いんですよ」とか「ダラダラしてるアイツ、実は一番仕事出来ますよ」みたいなやつだ。
それでも僕は伝えたい。

ブルーアーカイブは、熱血物語で、サイエンスフィクションで、政治の物語で、それで最後にやっとギャルゲーなのだ。

ブルアカは熱血物語だ。
先生は生徒の考えを尊重し、成長を見守ることを是とする。
過剰に手出しはしないが、適度にアドバイスを行い物事が良くなるように促していく。
各人の自主性を重んじ、価値観や違いを尊重して、各々の存在理由を侵害しない。
だけど先生は"大人"なので、本当にどうしようもない失敗に対して全ての責任を負い、責任を果たすのだ。
そこで"私"はいつでも、軸をブラさず真っすぐに立っている。
メインシナリオにおける一貫されたその立ち振る舞いはもはや清々しいほどだ。
真心を持って人と接する事で信頼を勝ち取り、結果として仲間が増えていく姿は少年漫画のようでもあった。

また、ブルアカはサイエンスフィクションだ。
"私"が異世界に赴いている事が最大の要因ではあるが、"私"にはまだまだ知らないものが沢山ある。
知っているものも沢山あって現代の常識はかなり通用する世界なのだけれども、不可解なものも大量にある。
理解不能な単語が飛び交い、困惑する事もあるだろう。
前に出てきた気がする言葉の意味を思い返してみる事が必要な事だってあるだろう。
深く、深く、理解・咀嚼しようとすれば、読み手側にもある程度の知性と想像力(あるいは創造力)を求める。

この物語には本当と嘘が適度に混在していて、わくわくするような不思議な世界に誘ってくれる。
過去の遺産や未来の技術、それら全てがキヴォトスにはある。

そして、ブルアカは政治の物語だ。
キヴォトスには、赴任したての"私"には分からない、積み重ねられた膨大な歴史が既に存在した。
キヴォトスには、多種多様な人種のようなものがあり、それぞれが学校・学園という自治区の中で既に息づいていた。
分かりやすそうな表現に落とし込むならば、キヴォトスは地球であり、学校は国である。
先生は地球大統領であり、生徒は地球人だ。
生徒会長あるいは類似する立場の者は、国の総理大臣や大統領や総書記や王様などである。

この星に降り立った私はまず、世界の広さを知る事になる。
右も左も分からない中、早速様々な容姿の人々と出会い、様々な価値観を目の当たりにすることになる。

譲れないものがあるならば、それらはどこかで衝突するものだ。
積み重ねた歴史が膨大であるならば、そこには間違った決断も存在しているものだ。
打算があり、エゴがあり、過誤があり、差別があり、戦争すらもある。

この世界は綺麗なだけではなかった。
綺麗なだけではないから、"私"がここに居るのかもしれない。

青マナを出す島だと思っていたら、実はここは黒マナを出す沼だった。
青黒ってのはもう考えうる限り最悪の組み合わせのデッキタイプだぞ。
滲み出す混濁の紋章
不遜なる狂気の器
湧き上がり・否定し
痺れ・瞬き
眠りを妨げる
……と、冗談はともかく。
世界の広がりが無数であるせいで、あるいは生徒の魅力が多次元的であるせいで、二次創作欲が掻き立てられるのも理解できる。
そういう意味でも間違いなく沼である。

ブルーアーカイブのシナリオはかなり良質だ。
しっかりとした土台の上に世界が形作られ、その上で生徒(キャラクター)達が生きている。
知人たちの言う「シナリオが面白い」という話は、嘘や妄想や集団幻覚や思い込みなどから来たものではなかったのだと思う。
少なくとも。
少なくともである。
僕はこの10日間、先を読みたいと思ってどんどんページをめくっていった。
その事実が消えることは絶対にない。

■最後に

この世界には小鳥遊ホシノという生徒がいる。

常にだらだらしている、「動いてないのに暑いよ~」のゆる~い女だ。
迷走しそうになった仲間に、肝心要の事柄が何なのかを説ける頭の良い女だ。
最も大事な物を守るためならば自己犠牲を厭わない、強い女だ。
だけど過去と心にトラウマを抱えたままの弱い女だ。

これからはキヴォトスの"先生"として。
どうか一緒に歩ませてはもらえないだろうか。
心意気が好きだ。見守らせてほしい。
一日遅れたけど、誕生日おめでとう。

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